輸入真菌症の疫学および診断法の研究
◆輸入真菌症の国内発生動向の調査と診断法の開発に向けた研究を行っています。
輸入真菌症の疫学
近年、輸入真菌症の報告症例数は増加の一途をたどっています。これは輸入真菌症に対する意識が高まってきたという背景以外に、海外との往来増大によって輸入真菌症の流行地にも多くの人々が訪れるようになったためと考えられます。 輸入真菌症原因真菌はいずれも病原性が強く、健常人においても感染を成立させることが大きな特徴です。感染症法4類に分類されているコクシジオイデス症を除いてはまとまった国内発生動向調査が行われてきませんでした。 我々の研究室では輸入真菌症の国内発生動向の調査を行い、最新の情報を当ホームページで随時更新しています。 他にも一般向けの情報や医療従事者向けの参考資料も公開しています。
輸入真菌症診断法の開発
輸入真菌症の診断には、病理組織観察や培養による菌の検出等が行われ、非常に重要な意義を持っています。しかしながら、いずれも感度が低く、また特殊な設備、時間を要するという大きな欠点を持っています。 そこで補助診断法として、抗原もしくはそれに対する抗体を検出する血清試験が迅速診断法として一般的に用いられています。しかしながら、これら血清診断法にも未だ問題点も残されています。 ヒストプラズマ症の血清診断法では現行の血清診断試薬を用いた本邦の症例に対する検討では十分な感度が得られないという問題が浮かび上がってきました。このような背景からヒストプラズマ症血清診断法の開発・改良を目指して、新たなHistoplasma capsulatum 抗原の探索などを行っています。
研究内容の詳細
- 病原真菌の感染機構/宿主防御機構の研究(主に糸状菌Aspergillus fumigatus について)、 慢性肺アスペルギルス症の発生機序・病態に関する研究
- 輸入真菌症の疫学および診断法の研究
- スエヒロタケによる真正担子菌症の疫学および診断法の研究
- 遺伝子解析や抗原検出による真菌症診断法の研究
- 接合菌症の疫学調査
- 居住環境内真菌による肺障害の研究:肺循環障害、過敏性肺臓炎など