病原真菌の感染機構/宿主防御機構の研究

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病原真菌の感染機構/宿主防御機構の研究                  
               (主に糸状菌Aspergillus fumigatus について)

◆ヒトはどのようにして病原真菌から身を守っているのか?一方で病原真菌は如何にして感染を成立させるのか?

 ここでは病原真菌の感染機構や真菌に対する宿主の防御機構に関する研究について紹介しています。このような研究を通して、真菌感染症の基礎的理解を深めるだけでなく、抗真菌薬のヒントを見いだしたいと考えています。

宿主側のAspergillus fumigatus 認識受容体に関する研究

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 近年、感染初期の自然免疫 応答が注目を浴びています。細菌やウイルスでは病原体を認識する受容体について盛んに研究が行われていますが、真菌についてはその研究は緒についたばかりです。 我々は樹状細胞株DC2.4細胞にA. fumigatus を感染させると宿主側転写因子AP1の活性化が惹起されることを見出しました。このAP-1活性化はA. fumigatus 膨化分生子において最も強く惹起されます。膨化分生子表面にβ-グルカンが露出されることを確認し、Dectin-1がA. fumigatus 表面のβ-グルカンと会合することによってAP-1活性化が惹起されることを明らかとしました。さらにDectin-1細胞質ドメインで会合するSykチロシンキナーゼがAP-1活性化に重要であることや宿主細胞からのTNF-α産生にもβ-グルカン認識によるDectin-1/Syk/AP-1のシグナルが重要であることを示してきました。 現在、Sykチロシンキナーゼ下流で本シグナル伝達に関わっていると考えられるMAPキナーゼについても解析を進めるとともに、Dectin-1以外のA. fumigatus 認識受容体を探索する試みも開始しています。

Aspergillus fumigatus の産生する細胞傷害性物質の探索

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 真菌、特に糸状菌は多くの二次代謝産物を産生します。A. fumigatusもゲノム解析から多くの二次代謝産物を産生するための遺伝子クラスターを持っていることが明らかとなっています。  最も重要な二次代謝産物の一つとしてグリオトキシンが知られています。海外の複数のグループから、グリオトキシンが産生できない株では病原性が低くなったとの報告がなされています。  我々もこのグリオトキシンに注目し、研究を行っています。また、気道に類似した酸素濃度、通気性をもった環境下で培養した本菌から未知の細胞傷害性物質が産生されることを見出し、現在その精製、構造決定を行っています。

 

慢性肺アスペルギルス症の発生機序・病態に関する研究

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