対象とした薬剤耐性株は、近年欧州を中心に急速に広がりつつある”環境型”の耐性機構を持つもので、日本でも分離されていることを我々のグループは本年発表しました(J Infect Chemother 22: 577-9, 2016)。今回の論文は、この世界的にも非常に重要な耐性機構を持つ株に対して、標的分子の転写制御因子を欠失させることで感性化させることに成功した、世界で初めての報告となります(Scientific Reports, in press)。
この成果は、急速に拡大している”環境型”の薬剤耐性菌に対する、新たな治療戦略を提示するもので、新薬への応用の手がかりとなります。また、この”環境型”の耐性機構は、ヒト病原菌である本菌に限らず、ある種の植物病原菌からも見つかっており、分野を超えた波及効果があると考えられます。